ヘアーグラス
vol.002 | |
通称 | ヘアーグラス(マツバイ) |
学名 | Eleochalis acicularis |
科名 | カヤツリグサ科 |
原産 | 日本、東アジア |
成長形式・増やし方 | 下草向き、チェーン型。芽のついたツルを匍匐してのばし、数珠つなぎに株を増やす。ツルをトリミングして子株を独立させるとそれぞれが親株へ成長する。なるべく強目の照明で密生度やサイズにあわせてCO2添加量を増やすとよく密生する。 |
光量 | 中~強 |
水質 | 弱酸性~弱アルカリ性、軟水〜中硬水、18~28度、CO2添加 |
古くから馴染みがあり、清々しい前景をつくる定番の水草。とても丈夫でソイル系の底床ならば問題なく育つ。要は通常の水草と同様、弱酸性~中性の水質、CO2添加、高光量の環境で。今ではソイルが一般的になっているが、以前はセラミックや砂利系の底床にも植えられ、弱アルカリ性の環境下でもよく育っていた。その場合は穏やかに効く底床肥料や定期的な液肥料が有効で、目の細かめな底床を厚めにすることで実現できていたと思う。
植栽について
ヘアーグラスの販売は、ほとんどが水上葉の状態で束や芝のようにシート状。水上は成長の段階でどのみち枯れてしまい、枯れる段階で非常にコケがつきやすい。そのため、植栽前にあらかじめ根元から4〜5cmくらいのところからカットして植えるか、長いまま植えて植栽後に底床から出た部分1〜2cm位残してカットしてもよい。
植栽方法は大きく分けて3通りくらいだろうか。数株ずつばらしてなるべく密に植える。こうすると新葉の展開後にムラがなく、水景の完成もやや早まるもののとにかく気が遠くなる作業、小型水槽向けだろう。小型〜中型水槽なら5mm程度の束にして2cm程度間隔で植え込めば少しは楽。さらに楽したい場合や大型水槽なら鉛筆くらいの太さの束にして4〜5cm間隔で植えこむとよい。後者になるほど完成するまで隙間のムラが気になるが、植え込む束が大きいほどランナーが多く発生するので一旦密生してしまえばどう植えたかは関係ない。
育成ポイント
ヘアーグラスは細くて密生する葉。順調に生育していても水槽内のバランスが崩れると瞬く間に藻がつき、手の施しようがなくなる。ポイントは、ろ過と栄養富化にとにかく気をつけて環境維持につとめることに限る。また、通常の水草レイアウトより藻対策のエビを多めに入れるとよい。エビは、できたら食欲旺盛なヤマトヌマエビと隙間や隅々までコケの元をたべてくれるミナミヌマエビの両方を入れることをおすすめする。コケのないヘアーグラスが生い茂る草原は本当にうつくしい。
もし、うっかり藻にやられたら、思い切って葉を根元付近からカットする。そして再び新しい葉が生い茂るまでには、藻の原因を突き止めて改善することだ。また、環境がよければ15~20cmくらいにも長くなることもある。長めのヘアーグラスがそよぐ水景も清々しいい、短めのショートヘアーグラスの草原風も癒される。目的の水景をめざして植え込むヘアーグラスの種類を変えるのが一番早いが、ベーシックなヘアーグラスもトリミングの際に根元1cm以内に短く矯正的にトリミングを繰り返していくと、やがて低い葉が長期間維持できるようになってくる。
上の写真は、ネーシックなヘアーグラスを矯正トリミングによって背を低く維持している水景(2006年4月15日撮影)。ヘアーグラスは一旦、絨毯状に密生すればそれほど見た目が悪くならない程度で代謝を繰り返すため、比較的長期維持のできる前景用水草だと思う。ただ、シリアやモス類の欠片が入り込んでしまったのを見過ごすと徐々に広がり手の施しようがなくなり、いつの間にかシリアやモスの絨毯に乗っ取られてしまうので注意が必要。h_ahli