■Vol.047(2010年7/14更新)

通称:エラチネ オリエンタリス(Elatine orientalis)
学名:Elatine sp. ?
科名:ミゾハコベ科?
分類:双子葉類
原産:不明(日本?)

成長形式/増やし方:アンダーウォーターモード(沈水形体)の場合は枝別れしたものをトリミングして差し戻す。

 

デュアルモード(水陸両用形体)に変化した場合、縦に延びる枝、もしくは匍匐する枝をトリミングして差し戻す。

or

光量 :強
特記 :弱酸性〜中性、軟水〜

育成ポイント:販売時は沈水形体で半透明の濃緑だが、CO2添加を多くすると、ライトグリーンの水陸両用形体に変化することがある(下記参照)。一般的に高温に弱いといわれるが、通水性をよくすれば夏場も他の水草と同じ管理下でも問題ないだろう。

 

■はじめに

私が本種を知ったのは2008年の終わり頃だった。大好きな前景に使える目新しいタイプなものの、正直、地味な色合いであまり好みではない。そうは言っても水草を趣味屋とする本能として迅速に入手。実物を手にすると、この形体に異質さを感じてならない。そして同時期に偶然にも本種と同じ臭いがする謎草を入手する。これを機に「Report/エラチネオリエンタリスと謎草」のレポートを開始することになる。下記は、そのレポートより本種に特化してまとめたものである。※一部、最新情報あり。

 

■入手時データ

通称である「エラチネ オリエンタリス(Elatine orientalis)」を直訳すると「東洋ミゾハコベ」。しかし、エラチネ(ミゾハコベ)という種別も、オリエンタリス(東洋)というあやふやなロカリティもあてにはならない。入手当時にネットで調べたところでは、台湾からやってきたらしく、台湾では日本産として出回っているという。確かに2008年以前から日本国内で育成されていたという話しもあり、台湾との関連性もなきにしもあらずだが、根本的な出所はまったく不明。はたして何者なのだろうか。

 

手にした実物は透明感のある深緑系で、いかにも沈水に順応した形体とみてとれた。葉長5〜7mm、基本4輪生(環境により3輪生)。ここにも疑問。私は学者でないので断定できないが、知る限り、通常のミゾハコベの葉の付方は対生だが本種は輪生だ。

■育成方法

匍匐はしない。生育は節から枝別れしながら横に広がるようにコロニーを形成してボリュームを増す。背丈はせいぜい5〜8cm程度に止まる。自主的に前景を埋めつくすことはできないが、トリミングして隙間に差し戻す手助けをすると絨毯化も可能。

強光下を好み、CO2添加はあった方がよい。他の水草と同じく弱酸性〜中性の軟水のソイルの底床でよく育つ。成長スピードは単体では緩やかにみえるが、コロニー単位では早く感じる。一般的な情報では高温に弱いとされているが、経験では通水性をよくすることで、冷却ファンだけでも問題なく夏を越すことができた。夏以外の通常の管理では、一般的な26度設定より1度低めの25度を目安にすると状態よく維持できるだろう。

 

以上は通常の本種についてで、ある意味、第1ステージ完結である。ところが本種にはまったく新たな第2ステージ、さらに第3ステージへ展開の可能性を秘めている。

■エラチネ オリエンタリスの変化

CO2添加を多くした場合、もしくはCO2がよく溶け込んだ水流があたる箇所に配置した場合、本種はまるで別種を思わす顔をみせはじめる。左写真のように尖端からやや大きめのライトグリーンの葉が発生することがあるのだ。

 

そして通状の背丈は5〜8cm程度に止まるものだが、この明るい葉に変化すると水面目指してどこまでも成長することになる。

 

その容姿はパールグラスに大変類似している。ほぼ安定して4輪生で展開する。

 

さらに匍匐もはじめる。この点もパールグラスの特長によく似ていている…

 

濃緑の沈水形体の隙間に明るい葉が匍匐し、やがて埋めつくす。広がる場所がなくなると縦にのびはじめて切りがない。取りあえずトリミングして右側に差し戻していたら、そこは森と化した。

濃緑・半透明の沈水形体の時は、なかなか水上化させることができなかったが、パールグラスによく似た明るい葉では、いとも簡単に水上化させることができた(左写真)。

 

このように本種は入手時から変化、水上化と3つ形体をもっていることになり、GRASSY AQUA 流に次にまとめた。

(1)アンダーウォーターモード(沈水タイプ)/葉は細長く、葉長は5〜7mm程度、3〜4輪生。色は濃緑・半透明。枝別れしながらボリュームを増し、放射状にコロニーを形成する。背丈は5〜8cm程度に止まる。

(2)デュアルモード(水中タイプ)/ライトグリーンのやや幅広の葉で、さほど透明感はない。背丈は水面をめざして成長し、底床を匍匐して増殖する。3〜4輪生であることは変らない。

(3)ランドモード(陸上タイプ)/デュアルモードよりもサイズはやや小型に展開し、ライトグリーンの広めの楕円の葉。変らず3〜4輪生。

ちなみに水陸両用形体以上に変化すると、本来の濃緑・半透明の沈水形体にもどる確認はできていない。それと聞いた話なので確証はないのだが、パールグラスを密生させると、あまり光の当たらない根元付近で極たまに本来のエラチネオリエンタリスのような濃緑・半透明の葉がでてくることがあるらしい。もしかするとエラチネオリエンタリス自体がパールグラス由来のものなのかもしれない。なんとも謎に満ちた草である。

ともあれ、デュアルモードと呼ぶ水中タイプは非常にレイアウトに向き、ロタラの類いよりもコンパクトなため、マクロな表現にうってつけである。またパールグラスよりも下茎が劣化しにくく、トリミングを繰り返しても長期間維持できる。さらにソイルでの立ち上げ時の低pH、低硬度でも問題なく生育する。こんなに扱いやすいレイアウト向きな有茎草はそうないだろう。h_ahli

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