■Vol.004(2007年6/29-2008年11/26更新)

通称:ミクロソリウムsp. 本ナロー(ミクロソラムsp.)
学名: Microsorium sp.
科名:ウラボシ科
分類:シダ
原産:東南アジア

成長形式・増やし方:活着性、匍匐型。はいながら成長し、枝わかれする。根茎をトリミングすることで株分けする。また、古い葉から発生する子株を独立させることでも増やせる

 

光量 :低〜強
特記 :弱酸性〜弱アルカリ性、CO2添加なし可(添加すると成長が早い)

育成ポイント:成長はゆるやか、活着性が強い。針金等で流木や石に固定すれば、1カ月くらいで新しく生えた根によって活着する。注意点は、水温が30度以上をこえる夏はシダ病に気をつけること。シダ病の予防は、過密を避け、通水性をよくすることだ。もし、シダ病になった場合、発病した葉はすべて根茎元から取り除くこと。少しでもうつったと思われる葉でも容赦しないように。場合によっては、葉を全部カットしてしまうくらいの覚悟で対処してほしい。根茎さえ生きていれば、通常温度(26度前後)にもどる秋には、復活する可能性が高い。

 

一般流通しているナローリーフは、高光量・CO2添加と条件のよい環境で育成すると、葉幅〜1cm、葉の長さが〜30cmを超える大型に成長してしまうことがあり、レイアウトで持て余してしまう。ところが「ミクロソリウムsp. 本ナロー」は、あまり大きくはならない。しかし依然に流通量が少ないため、憧れ的な存在ではないだろうか。

 

特長

本種は、プライベート便で輸入された原種のタイプといわれている。色は深いグリーン、葉は大変細くエッジに細かいウエーブが入るのが特長。

※注意:以前、トロピカからサンプル的に入荷した「初期」つく本ナローとは別ものだと考える。詳しくは水草通信vol.005『ミクロソリウムsp.ナロー・ナロー』を参照。

 

サイズは、葉幅3〜5mm程度、長さは大体10〜15cmくらいだが、CO2添加、強光と条件がよい場合でも最長18cm程度にとどまるようだ。

育成スピードは大変ゆるやか。そのため少量から育成しはじめると、鑑賞できるくらいの株になるまでかなりの時間を要するため、根気が必要だ。私は2003年に葉十数枚程度の根茎からはじめたが、レイアウトで使用できるくらいの株になるまで2年ほども費やした。しかし、根茎は枝別れしながら放射状に成長していくため、一旦、成長にはずみがつくと株は確実に大きくなり茂みを深くしていく。

 

↑4年ほどで直径25〜30cmくらいにまでの大株になった。

ミクロソリウムといえば、葉に子株をつける特長がある。ところがこの本ナローは、ほとんど子株をつけない。そのため根茎をトリミングすることで株を増やすことになる。

活着性は強いが成長が遅いため、新たな根が生えることによる活着までに他よりも時間がかかるだろう。ミクロソリウムの中でも根茎は比較的細く根も細い。流木や石に確実に活着するまで1カ月以上は固定する針金等を取り除かない方がよい。慎重に。

さて、「本ナロー」という通称は、考えてみれば面白い。語源はハッキリしないが、本物/本当というような意味があるのだろう。「本ナロー」という通称自体はある程度、周知されているが、他に「本ナローリーフ/初期」「ナロー・ ナロー」や「原種ナロー」等、様々な呼び名でいわれているが…。

 

 

↑ミクロソリウムsp.本ナロー

↑ミクロソリウムsp.ナロー・ナロー

本物の『本ナロー』とは。

私がこれまで入手して確認した「本ナロー」といわれるものは2タイプあった。双方は入手経路が違ったため、同条件下で別々に長期に渡って育成したところ、区別できる明らかな違いがみられたのだ。その特長から「本ナロー」と「ナロー・ナロー」だということが判明。外観の違いは左写真、詳細は下記表参照。

本ナロー
ナロー・ナロー
葉幅(最大)
〜5mm程度
〜5.5mm程度
葉長(最大)
〜180mm程度
〜200mm程度
葉の特長
葉のエッジに細かなウエーブが入る。奇形葉はあまり発生しない。葉に子株はあまり発生しない。

葉のエッジはほぼストレート(ゆるやかなウエーブ)。稀に奇形葉が発生。葉の途中から枝別れしたり、葉先がウインディロブのような獅子葉をつくる(「ナローK」と言われるものだろう)。葉に子株はあまり発生しない。

全体の特長
まとまった株になると、葉は輪の外側に平たく広がるようにのび、逆円すいのような容姿となる。全体的にやや乱れた野性味のある印象。
まとまった株になると、葉は放射状に直立ぎみにのびるため、立体的な整った茂みをつくる。
総評
同条件で双方を長期育成したものを並べると若干「ナロー・ナロー」の方がサイズが大きくなることがわかる。また、「本ナロー」の葉のエッジに入る細かなウエーブは育成条件によって判断しにくい場合があるので注意してほしい。

 

「本ナロー」は「ナロー・ナロー」と比べるとそれほど頻繁ではないが、やはり時折、奇形葉が発生したり、葉から子株ができる(右写真参照)。あくまでも私の憶測で確証はないが、水温が高い夏を終え、水温が安定する秋から冬にかけての時季にみられることが多いように感じている。

 

そもそも「本ナロー」と「ナロー・ナロー」は入荷の違いや上記の特長から別々に扱われていた。しかし、年月を経て 一部のショップ(例え有名店であっても)や個人売買を経由するうち、「本ナロー」と混同されてしまったと考えられる。

執筆していて気がついたが、古いADAアクアジャーナルに写真が載っていたのを思い出した。探してみたところ、1998年発行vol.50「Fascination」というコーナーで三浦氏(現在アクアズームのオーナー)によって紹介されていた。特長から、こちらは「本ナロー」と思われる。他にも、2000年ごろに原種タイプやトロピカのリリースのことを聞いた覚えはあるが、肝心な内容はさっぱりだ。このあたりはさらに調べて、新しい情報があったら更新していこうと思う。文/h_ahli

 

※他に「本ナロー」や「ナロー・ナロー」の情報をご存知の方がいらっしゃいましたら、ぜひ教えてください。

 

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