■Vol.003(2007年6/15更新)

通称:ボルビティスsp. 2002(アフリカ、ギニア、変り葉、細葉、小型タイプ 等)
学名: Bolbitis sp.(不明)
科名:ツルキジノオ科
分類:シダ
原産:アフリカ(ギニア)

成長形式・増やし方:活着性、匍匐型。はいながら成長し、枝わかれする。根茎をトリミングすることで株分けする。

 

光量 :低〜強
特記 :弱酸性〜中性、CO2添加なし可(添加すると成長が早い)

育成ポイント:流木や石に活着させて育成させる。水生シダの中では成長が大変ゆるやか部類だが、環境が整っていればボルビティス・ヒュディロッティと同等の成長スピードと考えてよい。私がこのボルビティスsp.に対して「環境が整った」状態という定義は、水質pH6.4〜6.8くらいで、水温26度、CO2添加、中〜強光量。水草レイアウト水槽で育成するならば、ボルビティスsp.のための肥料添加はとくに必要はないと思っているが、水草の代謝を促すカリウムや鉄分は定期的に添加した方がよいだろう。どの水生シダにも言えるが、夏場の高水温によるシダ病には注意が必要である。

 

ボルビティスsp.2002と出会うまで

水草の中でも水生シダは私がもっとも好きな類だが、シダらしいボルビティスは取り分。以前、2002〜2003年にボルビティス・ヒュディロッティをメインにしたレイアウトを維持したことがある。しかし、強光・CO2添加と整った環境で育成すると葉が巨大化するため、水景レイアウトの比率が狂うという難点があった。とくに長く時間が経過して成長に意気よいがでてくると、根茎はどんどん太いものが出てくるようになり、そこから大きな葉を展開するのだ。実際に90cm水槽内で20cmもの葉を展開したことがあるが、場合によっては30cmもの葉を展開させることもあるという。このように条件のよい環境下では持て余すことになりかねないため、構図や比率が重要なネイチャーアクアリウム(水草レイアウト)での使用には注意がいるだろう。

その後、ヒュディロッティの育成は断念していたが、小型種であるボルビティスsp.の存在を知り、水草レイアウトでの使用の可能性に期待が高まる。様々な入手経路を模索した結果、2002年に「ボルビティスsp.アフリカ」として輸入された増殖株(根茎5cm程度を2株)を2005年2月に入手できた。

さらにその後、「ボルビティスsp.ギニア」の存在を知る。輸入時は水上葉なためピンとこなかったが、水中化させると小型に展開するという話し。そこで「ボルビティスsp.アフリカ」との違いを実際に確認したいと思っていたところ、翌2006年2月に偶然「ボルビティスsp.ギニア産」の水中葉を入手できた。比べる方法は、双方を同条件下で育成し、新たに展開する新葉の育成状況をみた。

右2番目のメジャーのついた写真内は、上が「ボルビティスsp.アフリカ」下が「ボルビティスsp.ギニア」の同一条件で展開した新葉の比較。この結果、まったく同一種であると判断する。

 

 

特長

水生シダの中でも成長は大変ゆるやかな部類。活着性はとても強く、針金等で流木や石に固定すれば、1カ月くらいで新しく生えた根によって活着する。日々の観察では地道な成長なためひどく成長は遅く感じるが、数カ月単位でみれば決して成長は遅いわけではない。古い葉を取り除いたりしながら根気強く管理していれば、いつの間にか豊かな茂みと化していた、という具合なのだ。

葉は、切れ込みがあって透明感のあるシックな深いグリーン。質感はヒュディロッティと同じく、やや硬め。形状は、ヒュディロッティより細葉で切れ込みが強く展開する。葉のサイズは、10cm以下程度で、どんなに環境がよくても12cmに満たない程度なため、大変小型なのだ。

CO2添加なしだと葉はさらに細く展開するようになる。また、中光量以下にしても同じように葉は細くなってくるが、茎が間延びするため、容姿が悪くなる。

 

使い方のコツ

もちろん直接、大きな流木等に活着させてもよいが、小さめの流木片や溶岩石等に活着させて使用すると後々扱いやすい。活着させる台は、平面的だったり整った形なものより、少々いびつな不規則な形状がいいように思える。大きな流木や石組に配置する時、引っ掛かりがある方が逆に納まりがよいからだ。また、例え配置して多少、不安定だとしても、数カ月後には台からはみ出して成長した根茎の根によって自ら本台である流木や石に活着してくれる。

株は最初からまとめて台に活着させなくとも1株から少量くらいでよいのではないだろうか。根茎は一方向だけでなく脇からも新たに根茎が発生する。最初は寂しいが成長に意気よいづけば、葉の展開数は増えていくからだ。

 

さて、今のところ大きなファームが生産する品種ではないために一般ショップでの扱いはほとんどない。一部のマニア向けのような専門ショップでしか入手は不可能なのが現状だろう。しかしよく「希少」「珍」などとあおられる水草は育成難度が高いと思ってしまうが、このボルビティスsp.のように水中育成に向き、水草レイアウトに使いやすい種もあるから侮れない。ところでGLASS BOXの中でも時折「希少」「珍」ものが登場する。それは、マンネリ化の一般種にはない趣を水草レイアウトに取り入れれば、もっと可能性が広がるのではないか、という期待から実験的に育成したものを紹介しているためだ。ネイチャーアクアリウムのカテゴリーはADAからはじまった。でも実践して楽しみながら深め、本当の意味で確立していくのはメーカーではなく、私たちアクアリスト。このカテゴリーの可能性はまだまだ未知数なのだ。文/h_ahli

 

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