■Vol.001(2007年6/4-9/14更新)

通称:エキノドルス・ハムリック(ヒュムルス、ヒュミリス、ラナリスマ・ロストラータ)
学名:Ranalisma rostrata(Ranalisma rostratum)
科名:オモダカ科
分類:根生水草
原産:中国・ベトナム・インド(流通はおそらくオリエンタルファーム経由)

成長形式・増やし方:チェーン型。芽のついたツルを匍匐してのばし、数珠つなぎに株を増やす。ツルをトリミングして子株を独立させるとそれぞれが親株へ成長する。

 

光量 :中〜強
特記 :弱酸性〜弱アルカリ性、軟水〜中硬水、22〜28度、CO2添加
育成ポイント :小型水槽〜大型水槽まで、前景の下草に向く。ADAアクアソイル・アマゾニア等の肥料養分や微量元素を含むソイルとの相性は抜群で、強光量、CO2添加の好条件がそろえば大変早く育成する。植栽は、スペースに対して均等に間隔をあけるとよい。ランナーを出しながら空いたスペースをうめるようにキレいな草原をつくるだろう。

 

通称名は、流通で誤ってつけられたものが一般化してしまっている。「エキノドルス」とあるが実際は『ラナリスマ』。テネルスほど大型化せず、通常4〜6cmぐらいの葉の長さで、きれいなライトグリーンで赤みを帯びることはない。条件がよいとまれに8cmくらいまで大きくなることもある。増殖スピードは早い。私がはじめて手に入れのは2003年3月。まだ未知の水草だったので試しに5株からはじめたが、みるみる増殖して驚いたものだ。現在も維持中。これほど前景に適した水草はそうないと私は思う。

以前は未知の水草だった。

私が入手したばかりの頃は調べてもまったく情報がなかった。そんな時、『ヒュムルス』というそっくりな水草をみつけた。このことをハムリックを入手したショップ(アクアプランツ)さんへ問い合わせると、実際に『ヒュムルス』を仕入れて育成し、ハムリックと比べてくださった。その結論は、ほぼ間違いなく同じものだろうということだった。当時、流通名はどうやら、関西では「ハムリック」、関東では「ヒュムルス」となっているようだ。

しかし、ハムリックそのものの正体が不明。ある時、古いADAアクアジャーナルで『アフリカンチェーンソード』というそっくりな水草をみつける。しかし、これについてもほとんど情報がなかった。

後に『ProFile100 vol.18 アヌビアス&アフリカ小型美魚』という冊子で「アフリカンチェーンソード」の情報をみつける。掲載された写真は水上葉のようで、水中葉とはまったく異なる丸い葉のプーンのような形状だった。

2005年11月、『世界の水草 728種図鑑』が発行され、ようやく情報を得た。そこにあったのは、『アフリカンチェーンソード(Ranalisma humile(Kunth)Hutchinson)』とある。水中葉の写真が掲載され、ハムリックそのものにみえる。本書によると、水上葉は円形1cmほどらしく、『ProFile100』の水上葉の写真と同一だと判断できる。また、通称名についても、学名の「Ranalisma humile(Kunth)Hutchinson」中の「humile」というのは、ハムリックやヒュムルス、ヒュミリスと読めないこともない。

 

ハムリックを水上で育成してみる。

2月末、しっかり根がはれるようにADAアクアソイル・アマゾニア・ノーマルを厚めに10cmくらい入れてセット。明るい窓辺に配置する。3月半ばくらいまで日中は大陽光があたり、室温は21〜24度くらい。窓辺なため、夜間は18度くらいまでは下がる。 半月くらいで水上葉が生えてきたため、徐々に水量を減らし、水切れしないくらいの管理をつづける。細長めの水上葉が展開した後、だんだん丸みをおびた葉がでてきた。いちばん丸くて大きな葉は直径1cmくらい。徐々によくなる気候も手伝って、成長が早くなる。何度か開花したようだが、実際に確認したのは5月末。

結果、この丸い水上葉は『ProFile 100vol.18』に掲載の写真と同じだと判断できる。『世界の水草 728種図鑑』に記された水上葉の形状とも一致。これにより「エキノドルス・ハムリック」=「アフリカンチェーンソード」の可能性が高いと憶測した。

※他情報/『誰でもできる水中ガーデニング』という本の水草の図鑑のページにアフリカンチェーンソードの情報が記載され、「初入荷当初は、エキノドルス・ハムリクという誤った名前が付いていた。」とある。(2006年4月)

 

ハムリックの正体。

長い間、疑問だったハムリックだが、問い合わせていたアクアプランツさんに調べていただいたり、ファームに問い合わせていただき、ようやく解決した。結論をまとめようかと思ったが、微妙なニュアンスも含まれるので結局、文面をそのまま添付させていただく。

『Eハムリック=アフリカンチェーンソード?の件ですが、私も同種と思いながらも詳細は不明でした。少し調べてみましたが「humilie」は西アフリカに産し「rostrata」は東南アジア産と記載された資料があります。マレーシアで採取されたらしいですがこの植物は以前、エキノドルスの一種であるとみなされていたとのことで、このときの間違いがインボイスネームでそのまま続いている可能性があります。さて当店に入荷しているEハムリックなるものは「Ranalisma rostrata」の可能性が高いのですが、そうなるとアフリカンチェーンソードという名称も間違いで「アジアンチェーンソード」と通称を付けるべきかもしれません。何れにしても詳細は不明です申し訳ございません。一度、代理店を通じてオリエンタルファームに照会してみます…』(2006年5/25)

『Eハムリックですが「Ranalisma rostrata」でした。なぜ「ラナリスマ」が「エキノドルス」の名前を冠したかについては、昔、間違ってエキノドルスと命名、その後にラナリスマと判明したが、そのまま通称名として流通しているとのことです。ついでに調べてみたのですがRanalisma rostrataの文献がありません。ネットでは海外のアクアショップばかり見つかりますが学術的な物は探しきれませんでした。私がよく検索するサイトではRanalisma rostratumと似た名前でアップされている種があり、中国・ベトナム・インドで採取されているようです。学名はアメリカ人が勝手につけるものと正規の命名によるものなどこれまた混乱しているので「Ranalisma rostrata」=「Ranalisma rostratum」と推測してるのですが。(一部省略)Ranalisma humileはアフリカ産で間違いないようですので、アフリカンチェーンソードはこちらでしょう。ちなみに当店では間違っていても流通名を最優先しております。これは違う物と思って購入したら同じだったというクレームを避けるためです。しかし本種に限っては名称を列挙した方が良さそうですね。』(2006年6/2)

以上である。さて、ハムリックの花は、エキノドルス系にそっくりだ。それもそのはず、「Echinodorus」同様、「Ranalisma」も同じオモダカ科なのだ。

通称:エキノドルス・ハムリック(ヒュムルス、ヒュミリス)の正誤表
 エキノドルス →  ラナリスマ
 学名:Ranalisma humile(Kunth)Hutchinson →  Ranalisma rostrata(Ranalisma rostratum)
 原産:西アフリカ産 →  中国・ベトナム・インド

 

個人的には観賞用の水草は園芸植物と同様、学名にはこだわらず判別するための流通名でかまわないと考えているため、これまで通り「ハムリック」でいいのではないかと思う。ただ、例え通称としても「アフリカンチェーンソード」と混同するのだけはショップや出版社に対して訂正してほしいと切に願う。最後に、私の疑問におつき合いいただいた アクアプランツさんに感謝いたします。

文/h_ahli

 

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